今回は滋賀医科大学での取り組みについてご紹介します。
文責
- 滋賀医科大学
松浦 博 理事(教育・学生支援・コンプライアンス担当)・副学長
滋賀医科大学の生涯学習に関する教育について
滋賀医科大学は、その理念である『地域に支えられ、地域に貢献し、世界に羽ばたく大学として、医学・看護学の発展と人類の健康増進に寄与すること』の実現に向けて、卒前教育だけでなく卒後教育においても地域に貢献する医療人の育成に取り組んでいる。卒前教育においては、ディプロマ・ポリシーの一つとして「生涯にわたって自律的に学ぶ姿勢」を掲げ、卒業時アウトカムとして、以下を定めている。
1. 医学・医療の進歩に関心を持ち、生涯にわたって自律的に学び続けることができる。
2. 他の医療者と互いに教え、学びあうことができる。
その達成のために、まず初年次に能動的に学修するために必要な心構えや学修・思考法を身につけることを目的として、「アカデミックスキル」や「プロフェッショナリズム基礎」等の医学教養科目を配置している。さらに高学年の診療参加型臨床実習では、医学部附属病院だけでなく市中病院や診療所の医師から指導を受ける機会を多く作り、学生自らが生涯に渡って学び続けることの意義を理解できるように努めている。
他大学と連携した地域で活躍する法医臨床医・法歯科医の養成について
現在、滋賀医科大学で行っている地域医療に携わる医師の生涯学習の取組を紹介する。
令和2年4月施行の死因究明等推進基本法を踏まえて、地域の安全や健康増進に資するために正確な死因究明が求められているが、死因究明等を担う医師や歯科医師が全国的に不足している現状がある。また近年、児童虐待や高齢者虐待に関する相談件数が大幅に増えており、被虐待児、被虐待高齢者の診察・鑑定を法医学の観点を踏まえて適切に行うことができる人材養成が急務となっている。このような課題解決のために、本学医学部社会医学講座(法医学部門)では京都府立医科大学および大阪医科薬科大学と連携して、「文部科学省基礎研究医養成活性化プログラム」に「地域で活躍するForensic Generalist,Specialistの育成」を申請し採択された。それを受けて本学では大学院医学系研究科医学専攻博士課程に「Forensic Generalist, Specialist育成コース」として3コース(法医臨床医養成コース、法歯科医養成コース、法医専門医養成コース)を設置するとともに、卒後の医師、歯科医師を対象としたリカレント教育の一環として「インテンシブコース」を設置しており、特色ある教育を実施している。(別添図参照)。
「インテンシブコース」では3大学の特性・強み(滋賀医科大学:地域との強固な連携による死因究明等、京都府立医科大学:法医画像診断等、大阪医科薬科大学:DNA解析等による個人識別等)を活かして、実践応用を目指した集中的な講義・実習を実施しており、短期間(約1ヶ月)の研修(講義・実習等)により死体検案、身元確認、犯罪被害者や被虐待児、被虐待高齢者の診察等を修得できるように工夫している。現在までに「インテンシブコース」では、卒後の医師39名、歯科医師122名が修了しており、警察や地方自治体が本コース修了者に協力依頼できる体制整備を進めている。
このように本学では、卒後の医師・歯科医師に対して法医学の専門的知識に関する学び直しの機会を提供して、滋賀県を中心とした地域における死因究明や虐待予防等に必要な人材養成に取り組んでいる。引き続き、これらの医師・歯科医師に対するリカレント教育を通して、地域の治安向上や安心・安全な社会の構築に貢献していく。
