![]() |
*第30回* (R6.4.2 UP) | ![]() |
![]() |
|
今回は鳥取大学での取り組みについてご紹介します。 |
鳥取大学における地域医療構想を踏まえた医学教育 | ||||||
|
||||||
1. 鳥取大学医学部における地域医療教育の課題 地域医療構想、医師の地域偏在、地域医療の人材育成としての地域枠、医師の働き方改革、医療再編、これらの課題を解決する策を探るための取組の一端をご紹介します。 2. 鳥取県地域医療支援センター 図に、同センターの目的、体制、業務の概略を示しています。蓄積された課題解決の選択肢を作り、医学部・鳥取県・鳥取県医師会を含む総ての関係者による議論を可能にする構成となっています。 同センターが関与する鳥取県の地域枠制度については、特別養成枠・臨時養成枠・地域枠・編入枠・一般貸付枠と入学生の意志・環境に応じた多様な枠組が用意されています。鳥取県で働く医師数の確保には、必要不可欠の制度となっています。この制度を欠いた場合、高齢医師の退職に伴い、鳥取県の医療を支える人材不足が懸念される深刻な状況にあります。アンケート結果(同センター調査)によれば、医師充足率(初期研修医を除く)は、鳥取県全体で85%、鳥取県の3圏域(東部、中部、西部)で81%、71%、86%と違いが見られています(図)。 現在の不足を埋め将来に備えるため、地域枠入学生の卒後の役割が大きいことは無論です。その推測を裏付ける結果が以下の図に示されています。鳥取県内での臨床研修者数に占める地域枠OBの割合は、次第に増加し過去2年の集計では60%を越えています。勤務医師数に占める割合は50%弱であり、臨床研修者が勤務医となるころには、さらに増えると予想されます。このように、鳥取県内の医師の大半が地域枠OBとなりつつあります。 3. 地域医療学講座 1年生には、基礎地域医療学講義に併せて「早期体験実習」を実施しており、遠隔地の特別講師による、オンデマンド配信の講義など、多様な講義の工夫をしています。
4年生に対して、「地域医療体験」プログラムを実施しており、鳥取県中西部および松江市の約30ヶ所の医療機関の訪問体験の経験を積ませています。 課程表以外のカリキュラムとして、医学科・保健学科・YMCAの合同実習(くろさか春夏秋冬セミナー)も実施しています。地区視診・公民館祭りなどが、その内容です。 新専門医制度においては、鳥取県統一総合診療専門医プログラム「鳥取の総合診療専門医を育てるプログラム」が稼働しています。現在までに6名の専攻医が研修中です。指導体制の充実のため、月1回のレジデントデイでポートフォリオ作成の支援をしています。また、すでに教室員4名がプライマリ・ケア連合学会の認定医・指導医を取得、4名が家庭医療専門医を取得済です。また、総合診療医の次のステップ(専門領域)である「新家庭医療専門医プログラム」(日本プライマリ・ケア連合学会)「鳥取の家庭医療専門医を育てるプログラム」についても、R3年度から稼働しており、総合診療専門医2名、総合診療PG研修中2名の計4名が本プログラムに登録済みです。 4. おわりに 地域医療は、地域住民の日常生活を支える基本的な要素です。その一方で、高齢化社会を迎えた日本の現代社会においては、様変わりすべきなのかも知れません。以前に比べて少ない人数で、さらには高齢の医療関係者が、高齢者を対象に医療をすべき時代を迎えようとしています。教員と医学生が共に模索する地域医療の調査や研究を通じて、地域医療という大きな社会貢献に、新たな手段で臨みたいと考えています。 |