*第9回* (H30.12.25 UP) | 前回までの掲載はこちらから |
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今回は山口大学での取り組みについてご紹介します。 |
卒前卒後の医学教育における山口大学医学部と地域医療機関との連携 | |||||||||
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【背景】
【卒前教育】
また、山口県医師会との協働で、臨床実習前の1~3年生を対象に、希望する県内医療機関における短期見学実習を定期的に実施している。さらに女子医学生を対象とした「インターンシップ」を、女性医師が勤務している県内医療機関(医院・クリニックを含む)において実施しており、見学実習や先輩女性医師によるキャリア・コーチングが行われている。 【卒後教育・研修】 卒後医学教育においても多数の地域医療機関と連携し、地域医療教育に取り組んでいる。 研修医に対する「地域医療研修」については、山口大学医学部附属病院医療人育成センターにおいて本院の臨床研修プログラムを管理・統括するほか、山口県から委託を受けて本院内に設置された「山口県地域医療支援センター」、県内の地域医療機関と連携し、研修医に対して研修プログラムを提供している。 プログラムとしては、山口大学医学部附属病院卒後臨床研修プログラムの地域医療研修(大学コース)と山口県地域医療研修(県コース)を2つ運用している。大学コースは本院の研修医が対象で、大学近隣の都市型の地域医療施設や県内の医療過疎地域の施設の他に、県外のへき地・離島等、幅広い医療現場で研修できる体制を整備している。一方、県コースは山口県内の臨床研修病院に在籍する全ての研修医を対象とする研修プログラムで、県内の医療過疎地域5区域に各々1~2の研修コースを設置し、各地域の病院、診療所等、複数の医療機関により研修体制を構築している。臨床研修病院との研修医の受け入れ調整や、研修施設との研修計画の調整については、5区域各コースに設置した事務局にて行っており、コース全体の統括は大学が行っている。大学教員が研修方略の立案や研修体制の構築に深く関わり、平成23年度にスタートした県コースは、経年とともに各事務局内でプログラムの充実を図り、毎年20~30名の申込みを受けるほど着実に実績を上げている。コースを統括する大学では、数年に一度地域医療協力施設が集まり地域医療研修の在り方を検討する場も設定し、研修内容のブラッシュアップと各施設間の情報共有も進めている。また、大学教員が随時協力施設を訪問し、研修内容の把握や研修医の研修状況確認を行い、連携強化に努めている。 加えて、山口大学医学部附属病院医療人育成センターでは山口県医師修学資金貸与者のキャリア形成にも関わっている。地域医療への従事を義務付けられた若手医師には、県内医療機関や医療過疎地域における勤務と自身のキャリア形成との両立に不安を感じる者も少なくない。学内各診療科や地域医療機関だけでなく県行政とも常に連携し、年数回のセミナーを開催するなど若手医師が地域医療で研鑽を積みながら活躍できる場を形成するように取り組んでいる。 さらに、本院では学生ニーズの高い「プライマリ・ケア」や「一次・二次救急症例」に対応した研修の充実化のために、近隣協力病院と連携しサテライト教育施設「臨床教育センター」を設置し運営している。センターには大学所属の指導経験豊富で教育力の高い指導医が常時在籍し、大学同様の非常に充実した学習環境下で研修医や学生が研修や臨床実習に精励できる教育体制を完備しており、人間性豊かで幅広い診療能力を備えた医師を育成している。 【現状と展望】 このように、山口大学では、県行政や山口県医師会・近隣医師会の協力と支援を受けて、将来の県内の地域医療を担う医師の育成に努めている。また、そのためには医学生の教育にあたる大学病院・医学科および近隣医療機関の指導医の確保と支援もまた不可欠なものであり、教員側の労力と時間、必要経費等について十分に斟酌したサポートの強化が望まれる。さらに、近年の新・専門医制度開始における専攻医の動向も注視するとともに、より充実した専門医研修プログラムの策定など、若手医師の積極的な受け入れと活躍の場の提供を行っていく必要がある。今後も県内唯一の医育機関としての理念と目標を果たすべく、地域の医療機関や関係各所と連携して、学生および教員の育成・支援を推進していきたい。 |