北東北地域は医師不足が特に深刻な地域であり、秋田大学医学部では秋田県との緊密な連携のもとに、医師不足・医師偏在問題に対する様々な取り組みを行っています。秋田大学医学部では平成18年度から地域枠入試を導入し、秋田県の定着する医師の確保に貢献してきました。平成20年度には秋田県からの寄付講座「総合地域医療推進学講座」を設置し、地域医療教育の充実を図っています。入学直後の一年次から地域医療に関する講義(教養基礎教育における初年次ゼミ)と地域中核病院における早期臨床実習を行い、医学生に医師としての心構え、チーム医療の重要性、患者中心の医療に関する教育を実践しています。
平成22年度からは、秋田県からの寄附講座「地域医療連携学講座」を新設し、医師不足の深刻な地域の中核病院への医師派遣を強化しています。地域医療連携学講座に所属する寄附講座教員は10名であり、週2回、秋田県内の地域中核病院の診療支援を行っています。さらに、地域医療の支援や人材育成の在り方に関する研究も行っています。このように、秋田大学医学部では、秋田県と緊密に連携を図り、地域の医師不足に対応しています。
平成18年度に入学した地域枠学生が平成24年3月には卒業し、臨床研修を開始します。秋田大学医学部の地域枠で入学した学生は、卒業後は原則として秋田大学医学部附属病院で初期臨床研修を行い、卒業後9年間は秋田大学医学部附属病院の研修プログラムの中で、秋田県内における循環型医師養成システムにより医師としてのキャリアを形成していくことにしています。このうち4年間は知事指定の地域中核病院で診療に従事することになります。医師の地域への派遣を決めるのは秋田県の医師配置にかかわる委員会であり、この委員会には行政担当者、秋田大学医学部関係者、秋田県医師会関係者、秋田県内の病院関係者等で構成されています。関係者の医師配置に関する意向を尊重しながらも、医師本人のキャリアを十分に尊重した形で医師配置はなされるように医学部関係者は調整を行う予定にしています。地域の循環型医師養成システムにおいては、地域医療への貢献の視点はもちろん大切ですが、同時に医師本人の希望する専門医取得、大学院進学、海外留学などの多様な進路を可能にするようなキャリアプログラムを用意することが重要であると考えており、今後、大学と秋田県が緊密な協議を行って、具体的なキャリアプログラムを策定していく予定です。
秋田大学医学部の推進する早期からの地域医療学教育。1年次の教養基礎教育の初年次ゼミ(医学部担当)において、臨床医学の入門的講義を行い、地域中核病院において早期臨床実習を行います。(図作成は総合地域医療推進学講座・長谷川仁志寄附講座教授)
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