![]() |
*第42回* (R7.3.13 UP) | ![]() |
![]() |
|
今回は岡山大学での取り組みについてご紹介します。 |
地域医療構想を踏まえた岡山大学の地域医療教育 | ||||||
|
||||||
はじめに 岡山大学医学部医学科は、「医の倫理に徹し、科学的思考法と高度な医学的知識・技術を体得し、生涯学習を通して社会的信頼を得るに足る臨床医並びに医学研究者を養成し、もって人類及び国際社会の健康と福祉に貢献する」ことを使命としています。また、教育理念として、「医療の中核を担う指導的立場の医療人育成」を掲げています。地域医療教育においては、「地域で学ぶ、地域で育つ」をキーワードに「患者さんをトータルに診る」ことができ、「地域医療の中核を担う指導的立場の医療人」となることを目指しています。 岡山県の地域医療の課題 岡山県は人口10万人対医師数をみると全国平均を上回り、医師多数県と区分されています。しかし、県北はもとより、県南においても岡山市を除いた地域では、人口10万人体医師数は全国平均を下回っており、岡山市・倉敷市に医師が集中している地域偏在が大きな課題です。加えて、岡山県も県北や瀬戸内海の島嶼部において特に高齢化が進展し人口減少が著しく、医療人の高齢化による診療所の閉院などに伴って、中山間地などの過疎地でのプライマリケアの担い手不足が深刻となってきています。 岡山大学医学部の地域医療教育プログラム岡山大学医学部医学科は、医学部教育の6年間を通じて、近隣県を含む多くの地域医療機関と連携し、地域包括ケアの視点を重視した地域医療教育を実施しています。2009年度より地域枠1年生を対象に早期地域医療体験実習がスタートし、2010年度からは一般学生の希望者へと対象を拡大しました。2020年度から入学直後に先輩学生から新入生に対し地域医療の魅力を伝える「地域医療ガイダンス」が学生の発案により開始され、多数の新入生が一般枠は1週間、地域枠は2週間の実習に参加しています。「門出の春に心を耕す」をモットーに、地域医療の現場での実体験を通して必要とされる医療を見据えて能動的に医学を学ぶ経験をしています。また、1年生の同実習の成果は学生企画の地域医療シンポジウムとして同学年の生徒だけでなく、岡山県保健福祉部や実習受け入れ先施設の指導医やスタッフ等にも実習成果の共有を行っています。 地域医療構想と連携した教育の深化 2012年度からは3年生を対象に地域医療体験実習を必修化し、一般枠学生は1週間、地域枠学生は2週間の実習を行っています。臨床実習の前に地域医療の現場を経験することで、学生は医療機関の機能分化や地域包括ケアシステムの中での医療の役割、多職種連携等を学び、地域住民との交流を通じて医師としての視野を広げる機会を得ています。 地域医療機関との連携と医療人育成 150年以上の歴史に支えられた岡山大学医学部と、地域の医療機関は「顔が見える」強い連携体制があり、2024年度は62の医療機関に実習のご協力をいただいています。さらに、地域医療体験実習の期間には地域医療人材育成講座教員が医療機関を訪問して学生の様子や実習の現場を視察させていただいています。また、毎年11月に「地域医療を教えるための指導医講習会」を開催し、講演やWSを通して、より良い実習について一緒に考え、学生を一緒に育てていただいています。2020年からの新型コロナウイルス流行下においても変わらず地域医療体験実習を継続できていることは、本学と連携する学外医療機関の皆様の多大なるご理解とご好意、そして教育に対する熱意に支えられてこそ成り立っており、この場を借りて御礼を申し上げます。 地域枠学生を中心としたキャリア形成プログラムの運用 岡山大学には岡山県・広島県・兵庫県・鳥取県の地域枠学生が在籍しており、各県庁の担当部署、地域医療支援センターと連携し、各々の地域枠学生・卒業生のサポートを行っています。キャリアコーディネーターとして地域勤務・キャリア形成・ライフイベント等について面談などを行い、関係機関各所との調整を行っています。2024年3月には岡山県地域枠1期生が地域勤務を修了することを記念して「キャリアサポートセミナー」と題し、後輩たちへ講演をいただき、地域医療への従事について考える機会を持ちました。 文部科学省事業「ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業」への参画 本学を主幹校として、島根大学、香川大学、鳥取大学との4大学で“多様な山・里・海を巡り個別最適に学ぶ「多地域共創型」医学教育拠点の構築”を目指しています。2024年度は大学間の協定が完了し、4大学の学生が互いの地域で実習できる体制が整いました。他大学医学部の強みや教育プログラムからも学び、広い視野と柔軟性を持った地域医療に貢献できる医師の育成を4大学で連携して行っていきます。 おわりに 岡山大学医学部医学科は、「地域医療の中核を担う指導的立場の医療人」育成の推進をとおして、地域医療機関との協力体制を強化し、地域医療構想を踏まえた地域医療の持続に貢献できると考えています。地域医療人材育成講座として「地域で学び、地域で育ち、地域を支える医療人育成」を今後も推進してまいりたいと思います。 |